近年、全国的に空き家が増加し、倒壊や犯罪の温床になるなど社会問題化しています。空き家問題に対処するためには、まず空き家の定義を正しく理解することが重要です。この記事では、国土交通省による空き家の定義や判断基準、特定空き家について解説します。ぜひご一読ください。
空き家の定義
空き家とは一般的に「誰も住んでいない家」を指しますが、国土交通省はより具体的な定義を設けています。ここでは、国土交通省による空き家の定義と判断基準、集合住宅の場合の扱いについて説明します。
国土交通省による空き家の定義
国土交通省は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」において、空き家を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」と定義しています。簡単に言うと、住んでいる人がおらず使用されていない状態が続いている建物とその敷地のことを指します。
空き家の判断基準
では、具体的にどのような基準で空き家と判断されるのでしょうか。国土交通省は、以下の項目を総合的に勘案して判断するとしています。
- 建物の用途
- 建物への人の出入り状況
- 電気・ガス・水道の使用状況
- 住宅の登記記録の内容
- 所有者の住民票の内容
- 住宅の管理状況
- 所有者等の状況
これらの項目を調査し、総合的に判断した結果、概ね1年以上使用されていない住宅を空き家と判定します。
集合住宅の場合の空き家の定義
マンションやアパートなどの集合住宅における空き家の定義は、戸建て住宅とは少し異なります。集合住宅の場合、空き家とは「ある一棟の集合住宅の全ての住戸が空き家である状態」を指します。つまり、一棟の中に1件でも使用中の住戸があれば、その集合住宅は空き家とはみなされません。
特定空き家とは
空き家の中でも、倒壊の危険性が高く、周辺に悪影響を及ぼす可能性のある空き家は「特定空き家」に指定されます。ここでは、特定空き家の定義と指定された場合の対応について解説します。
特定空き家の定義
特定空き家とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態、または著しく衛生上有害となるおそれがある状態にある空き家のことを指します。具体的には、以下のような状態が該当します。
- 建物が倒壊等の危険性が高い状態
- ゴミの放置や害獣の住み着きなどにより衛生上の問題がある状態
- 景観を著しく損なっている状態
このような状態の空き家は、周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあるため、市区町村が特定空き家に指定し、所有者に対して改善を促すことができます。
特定空き家に指定されるとどうなる?
特定空き家に指定されると、市区町村から所有者に対して以下のような措置がとられます。
- 助言・指導
- 勧告
- 命令
- 行政代執行
所有者が市区町村の助言・指導に従わない場合、勧告や命令が出されます。それでも改善が見られない場合は、行政代執行により市区町村が強制的に空き家の撤去や修繕を行うことがあります。その際の費用は所有者が負担することになります。特定空き家に指定されると、住宅用地に対する固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、税負担が増加します。
空き家を放置するリスク
空き家を放置することで、様々な問題が発生します。ここでは、空き家を放置することで生じる具体的なリスクについて説明します。
倒壊や崩壊の危険性
空き家は、定期的なメンテナンスが行われないため、建物の劣化が進みやすくなります。屋根や外壁の損傷、基礎の沈下などが放置されると、建物全体の構造が不安定になり、最悪の場合、倒壊や崩壊につながる危険性があります。倒壊した空き家が隣接する建物や道路に被害を及ぼす可能性もあり、所有者の責任が問われる事態にもなりかねません。
不法投棄や犯罪の温床になる可能性
人の目が行き届かない空き家は、不法投棄のターゲットになりやすいです。ゴミの不法投棄が常態化すると、周辺の環境悪化につながります。また、空き家が犯罪の温床になる危険性もあります。空き巣や放火、不法占拠など、犯罪者に狙われやすい環境になってしまうのです。
景観の悪化と地域の活力低下
適切に管理されていない空き家は、見た目が悪く、地域の景観を損ねます。シャッターが閉まったままの商店街や、空き家が目立つ住宅街は、地域の活力を低下させ、住民のモチベーションにも悪影響を与えかねません。
固定資産税等の増額
空き家を放置していると、固定資産税等の優遇措置が打ち切られ、税負担が増加する可能性があります。特に特定空き家に指定された場合、住宅用地の特例から外れ、最大6倍の税額となる可能性があります。
空き家の適切な管理方法
空き家の問題を防ぐためには、適切な管理が不可欠です。ここでは、空き家を適切に管理するための具体的な方法を紹介します。
定期的な換気と清掃
空き家は閉め切られた状態が続くため、湿気がこもりやすく、カビやダニが発生しやすくなります。定期的に窓を開けて換気し、空気を入れ替えることが重要です。また、床や壁、窓枠などを定期的に清掃し、ホコリや汚れを取り除くことも大切です。
建物の点検と修繕
空き家の劣化を防ぐためには、定期的な点検と修繕が欠かせません。屋根や外壁、基礎などに異常がないか確認し、必要に応じて修繕を行います。雨漏りや水漏れなどの問題も早期発見・早期対処が重要です。
専門家への相談と管理の依頼
空き家の管理は、所有者自身で行うことが理想的ですが、遠方に住んでいたり、高齢であったりする場合は、専門家に相談し、管理を依頼することも検討しましょう。不動産業者やシルバー人材センターなどで、空き家管理のサービスを提供しているところもあります。
空き家の有効活用事例
空き家は、適切に活用することで、地域の資源となる可能性を秘めています。ここでは、空き家の有効活用事例をいくつか紹介します。
地域コミュニティの拠点としての活用
空き家を地域のコミュニティスペースとして活用している事例があります。例えば、高齢者の交流の場や子育て支援の拠点、地域のイベント会場などとして利用することで、地域の活性化につなげることができます。
リノベーションによる賃貸物件化
空き家をリノベーションし、賃貸物件として活用する事例も増えています。古民家を現代的にアレンジしたシェアハウスや、職住一体型の住宅兼オフィスなど、ニーズに合わせた多様な活用方法が考えられます。
起業家や芸術家のアトリエとしての利用
空き家をアトリエやスタジオとして活用し、起業家や芸術家の拠点とする事例もあります。家賃の安い物件を探している人にとって、空き家は魅力的な選択肢となり得ます。
池戸建設の空き家管理サービス
池戸建設では、空き家の適切な管理と有効活用をサポートするサービスを提供しています。建設会社ならではの専門的な知識と技術を活かし、所有者の皆様の空き家に関する悩みに寄り添います。
池戸建設が提供する空き家管理サービスの概要
池戸建設の空き家管理サービスは、定期的な見回りと報告、換気・通水、清掃、庭木の剪定など、空き家の状態を適切に保つための様々な作業を行います。所有者の方が遠方にお住まいの場合でも、安心して空き家の管理をお任せいただけます。
建設会社ならではの専門的な管理体制
池戸建設は建設会社として、建物の構造や設備に関する専門的な知識を持っています。空き家の点検や修繕についても、的確なアドバイスと対応が可能です。また、県内に複数の拠点を持ち、迅速な対応が可能な体制を整えています。
空き家の有効活用に向けたサポート
池戸建設では、空き家の管理だけでなく、有効活用に向けたサポートも行っています。リノベーションのご提案や、賃貸物件としての活用方法のアドバイスなど、所有者の方のご要望に合わせて、きめ細かなサポートを提供します。
まとめ
空き家問題は、単に個人の問題ではなく、地域全体の課題です。空き家の定義や特定空き家について正しく理解し、適切な管理と有効活用を行うことが、問題解決の第一歩となります。池戸建設は、建設会社として培ってきた知識と経験を活かし、空き家の管理と有効活用をサポートいたします。空き家でお悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。