改正空家対策特措法とは?日本の深刻な空き家問題について徹底解説

近年、日本の少子高齢化が進み、空き家問題が深刻化しています。住宅・土地統計調査によれば、過去20年で「居住目的のない空き家」が1.9倍に増加し、総務省は2030年には470万戸まで増加すると予測しています。この課題に対処するため、空家対策特措法が制定・適用されました。

この記事では、改正空家対策特措法の概要や空き家の現状を詳しく解説します。また、空き家所有者向けの有効活用法や行政の支援策についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

改正空家対策特措法とは?

改正空家対策特措法とは、令和5年12月13日に施行された法律です。その目的は平成27年に施行された空家対策特措法の強化にあります。

従来の法律では、放置された空き家を「特定空家」として指定した上で行政による強制執行が可能でしたが、この処置が特定の問題を抱える空き家に偏り、対処療法的な面が課題でした。

今回の改正では、新たに「管理不全空き家」というカテゴリーが導入されています。この改正により、「管理不全空き家」に対しても行政が改善の指導や勧告を行うことが可能となりました。

さらに、固定資産税の住宅用地の特例が解除されるなど、より行政による積極的な対応が可能となります。

空家問題の現状

居住目的のない空き家はこの20年間で約1.8倍にも増加しており、今後も全国で空き家が増えていく見通しです。所有者が空き家の活用を考えていない、考えていても活用に向けて動けていない、といったことが1つの要因となっています。そのような空き家は放置されたままで、日頃の管理も十分でないのが現状です。

参考:国土交通省|空き家等の現状について

改正空家対策特措法のポイント

改正空家対策特措法のポイントは大きく分けて3つです。

  • 空家等の活用拡大
  • 管理の確保
  • 特定空家の除却等

今回の改正は、空き家対策に取り組む自治体からの意見が反映された制度となりました。

詳しく解説していきます。

空家等の活用拡大

空き家の活用拡大のため、市町村が空き家の活用が必要な区域を「空家等活用促進区域」として用途変更や建て替えなどを促進します。

次に、所有者不在の空き家の処分として、所有者に代わり処分を行う財産管理人の選定を市区町村が裁判所に請求できます。

最後に、支援法人制度として、市町村長が、空家の活用・管理に取り組むNPO法人や社団法人を「空家等管理活用支援法人」に指定できます。さらに、所有者の同意があれば、空家等管理活用支援法人市区町村から情報提供を受け、所有者との相談対応をすることが可能です。

管理の確保

空家の増加が進み、近隣に悪影響を及ぼす「特定空家」になるのを未然に防ぎ、管理の確保を図るため、放置すれば特定空家となる可能性のある「管理不全空家」に対して、市区町村が指導できるようになります。

指導しても、改善が見られない場合は「勧告」ができます。勧告を受けた空き家は固定資産税の住宅用地特例が解除されます。

他にも、所有者の把握を円滑にするため、市区町村が電力会社などに所有者情報の提供を求めることができます。

特定空家の除却等

改正前は、市町村長に特定空家の所有者から報告徴収を行う権限はありませんでした。改正後、市区町村長に特定空家の所有者に対する報告徴収権を付与し、特定空家への勧告・命令等をより円滑に行えることになりました。

また、緊急の場合は命令等の手続きを経なくても代執行が可能になっています。相続放棄、所有者が不明、不在の空き家についても、市町村が所有者に代わり財産を管理・処分できる「財産管理人」の選任を裁判所に請求して、修繕や処分を実施できるようになりました。

空き家問題解決に向けた動き

日本国内では、様々な地域で空き家問題への積極的な取り組みが行われています。

  • 空き家バンク
  • シェアハウス
  • サテライトオフィス
  • 古民家再生
  • NPO法人 空家・空地管理センター

空き家バンク

空き家バンクとは、自治体が地元の空き家情報を集めて住みたい人を募集し、引き合わせるという制度です。通常よりも安く空き家を買えたり、借りられたりできます。

空き家の活用は地域活性化にもつながります。空き家バンクに登録されている物件は、古民家カフェなどの店舗利用も可能です。

シェアハウス

都市部の空き家は改修等を行い、シェアハウスとして活用するのも良いでしょう。「映画シアター付きシェアハウス」「可愛い雑貨を揃えたシェアハウス」など他の物件と差別化できるものがあれば、安定的に入居者を確保できます。

サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、本社を中心に考え、その周りに衛星のように配置されたオフィスのことです。近年、IT企業が地方の自然豊かな場所にある空き家をオフィスとして利用しているケースがあります。

ただし、サテライトオフィスとして貸すには、高速通信環境が整備されていることが条件となります。

古民家再生

空き家の中でも築年数が古く、周りに観光施設がある場所は、空き家を古民家として再生させるというアイデアもあります。改修工事などを行い、カフェやレストラン、ホテル等として活用します。集客を狙うためには、その古民家が周辺の雰囲気に合っているかということも考えなければいけません。

NPO法人 空家・空地管理センター

空家・空地管理センターは、空き家や未利用の土地に関する問題を解決し、社会的な課題に対処することを目的とする法人です。空き家・空地の有効活用を促進し、地域社会の健全な発展をサポートするために様々な活動を展開しています。

空き家のオーナーや地域住民との連携、再生プロジェクトの推進、関連法規の啓発など幅広く活動しています。

空き家所有者としてできること

空き家所有者である場合、その空き家を何もしないというわけにはいきません。制度やサービスを利用し、空き家をどうするのか考える必要があります。

空き家所有者としてできることは3つあります。

  • 自己管理をする
  • 業者に委託する
  • 補助金、減税制度

空き家の改修工事に対する補助金や、減税制度についてもご紹介していきます。

自己管理をする

空き家の管理は、所有者の義務として法律でも定められています。そのため、空き家をほったらかしにする訳にはいきません。定期的に様子を見に行き、状態を把握しておく必要があります。

自分で適切に管理する流れは以下の通りです。

  1. まずはご近所への挨拶を行う
  2. 定期的な室内の換気
  3. 敷地内の清掃と建物外部の点検
  4. 屋内の掃除
  5. 天井や床に異常がないか、雨漏りしていないか確認
  6. 最後に開けた窓は全て閉め、戸締りができているか確認

自己管理していく場合は、換気と雨漏りチェックは念入りに行いましょう。換気することで室内の湿気を逃し、建物の老朽化を遅らせることができます。もし雨漏りがある場合、建物の耐久性にも大きな影響があるので注意が必要です。

業者に委託する

空き家の管理を自分でできないと悩んでいる方は、専門業者へ委託する方法もあります。

業者委託の最大のメリットは、手間がかからずプロの手で適切に管理してもらえる点です。自主管理では忙しい時に手が回らない可能性もありますが、業者に委託すればその心配がなくなります。

一方、業者委託のデメリットは費用がかかることです。自主管理の場合に比べて費用がかさむため、どちらが適しているかを検討する必要があります。また、業者によっては十分な管理をしてくれない場合もあるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

当社では、建設業のノウハウを活かした「空き家・空き地」の適切な管理を行なっています。不動産事業と共に建設事業も営んでいるからこそ、専門的な観点から物件ごとに適切な管理が可能です。

効果的な換気や防犯対策など、空き家における様々なトラブルを防止して、あなたの資産を守ります。お気軽にご相談ください。

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補助金、減税制度

補助金や減税制度の一部を紹介します。

「家賃低廉化支援」制度

「家賃低廉化支援」制度では、要配慮者(高齢者、障害者など)が空き家に入居する際、オーナーに最大月4万円が支給されます。この制度は直接オーナーに支給されるため、存続すれば確実に給付を受けることが可能です。

「改修工事費支援」制度

空き家の改修に対して最大100万円の補助金が提供される制度です。これにより低所得者世帯の入居を促進することを目的としています。低コストでのリフォームが可能で、これにより資産価値を向上させつつ、家賃補助による安定収入の手段となります。

住宅用地の特例(減税制度)

固定資産税の軽減措置(住宅用地)は、住宅用地に対する固定資産税の課税標準を減額する特例です。住宅用地では通常の課税標準の3分の1に減額されます。

さらに、特に200平方メートル以下の小規模住宅用地については、課税標準が6分の1に減額されます。特例の適用期限は定められていません。

まとめ

今回は、改正空家対策特措法について解説しました。日本の空き家問題は深刻化する一方です。改正空家対策特措法をはじめ、国が決定した制度や空き家バンクなどの取り組みがあることを知り、増えていく空き家にどのように対処していくのかが重要です。

空き家を管理する上で、建物や利用する人の条件をクリアしていれば、補助金や減税の支援を受けられることがあります。各都道府県で異なる内容の制度もあるので、自分の住んでいるエリアではどんな補助が受けられるのか確認してみるのも良いでしょう。

岐阜県恵那市、中津川市で空き家の管理にお困りの方は、池戸建設株式会社にご相談ください。相談は無料なので、お気軽にお声かけください。